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スパークリングコラム⑤ クレマンについて

   

前回まではシャンパーニュ地方を中心にまとめて来ましたが、もちろんシャンパーニュだけがスパークリングワインではありません。

 

今回から、シャンパーニュ以外のスパークリングワインにはどのような特徴があるのか?

について勉強して行きたいと思います。

 

1.クレマン

クレマンもシャンパーニュと同じフランスの瓶内二次発酵スパークリングワインですが、

下記の8つのAOCでのみ生産する事が出来ます。

  • アルザス
  • ボルドー
  • ブルゴーニュ
  • リムー
  • ディー
  • ジュラ
  • ロワール
  • サヴォワ(近年追加)

 

そして、下記のようなルールに基づいて製造する必要があります。

・ブドウを手収穫する

・全房もしくは除梗したブドウからマスト(果汁、果皮、種子等の混合物)を得ること

・ブドウ150kgからマストを得るのは100Lまで

・二次発酵は販売するボトル内で行う

・ドザージュ量は50g/L未満

・最低9ヶ月間、澱と共に寝かせなければならない

・全体で最低12ヶ月間熟成をしなければならない

などです。

 

クレマンにはブラン・ド・ブラン、ブラン・ド・ノワール、ロゼ、ノン・ビンテージなど、シャンパーニュ同様多様なタイプがあります。

ブドウ品種についてはその地域で栽培される典型的なものが使われ、リースリングやソーヴィニヨン・ブラン、シュナン・ブランなどもみられます。

シャンパーニュに近いピノ・ノワールやシャルドネを使用したものは人気が高いですが、ボルドーやディーでは使用されません。

 

クレマン用のブドウは土壌や気候で適地を選定しているというよりは、収穫タイミングをスティルワイン用のブドウより早める事でクレマンに適したブドウにする事が多いようです。

 

高品質なスティルワインをつくる場合、酸度を保つためには標高の高い丘の上などは最適です。

これらのブドウの収穫量が多すぎた場合や、スティルワイン用ブドウとして品質が高くなかったものをクレマン用にまわす場合もあります。

 

2.クレマン・ダルザスについて

アスザスの「クレマン・ダルザス」はフランスのクレマン生産量の約半分を占めます。

 

クレマン・ダルザスの畑は高級な畑ではない傾向があります。

多くは早く熟す平原のピノ・ブランを使用します。

 

リースリングやピノ・グリは高貴な品種としてスティルワインに使用されますが、ピノ・ブランはシャンパーニュのようなニュートラルなベースワインを造るのに適しています。

 

ピノ・ブランから造られるブラン・ド・ブランは白い花、洋ナシ、桃、ブリオッシュが特徴といわれます。

 

シャルドネは熟成のポテンシャルとエレガントさを加えるため、アルザスではクレマンにのみ使用を認められています。

 

リースリングは芳香が強すぎる場合が多いのですが、フレッシュで活気がある味わいになります。

 

ブラン・ド・ノワールやロゼにはピノ・ノワールのみが使用されます。

 

Emotionは2009年に導入されたプレステージ・キュベです。

より厳格に品質コントロールされていて、澱と共に寝かせる期間、自然なブドウ糖度の高さ、シャルドネもしくはピノ・ブラン、ピノ・ノワールが75%以上使用されるなどの条件を満たす必要があります。

約50の生産者が生産しており、より高い小売価格がついています。

(日本語の資料がなかなか見つかりません…)

 

3.クレマン・ド・ボルドー

ボルドー全域で生産でき、100以上の生産者がいます。

 

非常に多くの品種が認められているため、個性を捉えるのが難しいです。

セミヨンとソーヴィニヨン・ブランで造られた、タイトでナッツやほのかなハチミツを思わせるようなタイプ。

ソーヴィニヨン・ブランなどアロマティックでフレッシュな品種で造られたタイプ。

カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローのブレンドで造られたロゼタイプ。

などが主流です。

 

3.クレマン・ド・ブルゴーニュ

クレマンとして最初に認められたAOCでした。

ブルゴーニュ全域で生産が認められていますが、特にシャンパーニュに隣接するコート・ドーセール、リュリー、シャティヨン・シュール・セーヌなどはクレマン用のブドウにとって理想的な土地とされています。

 

シャンパーニュと似た土地、同様のブドウ品種でありながら、価格が非常に安価になるため、クレマン・ド・ブルゴーニュのコストパフォーマンスは非常に高いです。

ロゼタイプもよく見られ、ブリュットスタイルで造るのが通常です。

 

4.クレマン・ド・リムー

リムーはピレネー山脈の麓に位置し、高度の影響や海の影響で冷却されています。

最もよく使われる品種はシャルドネとシュナン・ブランです。

若いときはフレッシュで白い花や柑橘を思わせますが、熟成によりリッチでクリーミーな風味やトーストや焼き菓子のような風味を発達させます。

 

ブランケット・ド・リムーは、この地域でモーザックを90%以上使用し、シャルドネやシュナン・ブランをブレンドして造られたものです。

クレマンと同様、伝統方式(シャンパーニュ方式)で造る必要があります。

 

モーザックは早摘みすると特徴的な高い酸があり、つぶしたリンゴのような風味をワインに付与します。

 

5.メトード・アンセストラル

他の多くのスパークリングワインと異なり、二次発酵をさせるのではなく、瓶内で一次発酵を継続する製法です。

瓶内の発酵によって得られた炭酸ガスの圧力によってアルコール発酵が止まります。

そのためアルコール度が低く残糖の甘味を感じるものが多い傾向にあります。

クレレット・ディ・アンセストラルやリムー・メトード・アンセストラルなどがあります。

 

次回以降、フランス以外のスパークリングワインに目を向けて行きたいと思います!

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